作文のありがちなミス


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 入試に限らず、作文は減点式で採点されます。すばらしい内容やうまい表現があっても加点されませんが、ミスがあれば確実に減点対象になります。入試を想定し、減点されない書き方を身につけましょう。

「~だ」と「~です」 どちらを使うか

 入試の作文では常体(「~だ・である」調)を使用します。入試の作文で敬体(「~です・ます」調)が不適切である理由は、敬体(つまり敬語の使い方)が難しいため、ミスによる減点の可能性が高まるからです。

 そしてもう一つ。文を短くしにくいからです。文を短くできないと、主語述語のねじれが発生しやすく、これは確実に減点対象となります。そして文章を読み慣れている採点者(高校の先生方ですね)にとって、常体の文章はとても読みやすいものなのです。

 ですから入試の時は、使いやすい「~である」を使う事を強くお勧めします。(ちなみに、常体と敬体が混ざった文章は、それだけで減点対象となります。)

話し言葉禁止

  • 「でも、だけど」→「しかし」
  • 「なので」→「だから」
  • 「やっぱり」→「やはり」

というように「書き言葉」で書きましょう。

 テストでの記述式解答では、このような言葉遣いはすべて1点減点となるのではないかと思います。テストのような公式な場面でくだけた話し言葉を使うことは悪いことなのです。きちんとした言葉遣いができるように、今から癖をつけておきましょう。

一人称は「私」

 一人称には「僕」「私」「俺」…たくさんありますよね。作文では極力「私」を使う事をお勧めします。

 「私」という言い方は男性・女性どちらにも使える表現です。

 ライトノベル等に「僕っ子」というキャラクターがあります。少し子供っぽい、イタイ女の子です。中学生以上で「僕」を使用すると、採点者はあなたに「幼い」イメージを持つ可能性があります。それ以上に「僕」を言う漢字を大量に間違えて書き、大量減点されないとも限りません。ほよど特殊な効果を狙っていない限り「俺」は使用しないほうがいいでしょう。

    一人称に「自分」というのも変です。採点者は「軍隊か、体育会系の部活、さもなければ古い時代のヤクザ」を連想します。入試の時に答案として提出することを念頭に「少しでも減点要素をなくす」ことを念頭に置きましょう。

事実でなくてもよい

 「?」と思った人もいるかもしれません。そう思って当然です。「自分の体験を踏まえて書く」のが原則ですが、本当にあなたが経験したかどうかは、採点者にはわかりません。大切なのは内容です。事実でなくとも採点者にインパクトを与えることが大切なのです。

    たとえば高校入試の作文のお題が「高校に進学する理由」だったとします。そのお題に対してこのように書きました。

【例】 私には昔からなりたい職業がある。その為に高校に入り資格を取り夢を実現したいからだ。

    あなたに「なりたい職業がある」かどうかは採点者にはわかりません。実は、なりたい職業なんてなく、資格を取る気もないかもしれません。しかしそれを正直に書けば合格の可能性は低くなります。

    著名な作家の作品を思い浮かべて下さい。その作家は、実際に体験などしていなくても読者を感動させます。作文の上手な人は、嘘のことをあたかも自分の体験のように書くことができるのです。そして、その方が考えの範囲が最初から決まっている自分の体験より幅が広く考えることができるのです。

 上手な嘘をつけるようになれば、作文を書くことができる範囲がグッと広がります。

一文は長くて一~二行

 入試の問題文などは、一文が数行になることもあります。しかしこれは読解の問題だからで、長い文章を書き慣れた人だからこそ可能なのです。

 内容を短くまとめることが求められる作文では、一文が長いのは好ましいことではありません。みなさんの場合は、一文は一~二行。どんなに長くても三行までです。

 長くだらだら書くと、文法的におかしな文になったり、言いたいことが途中で変ってしまったりすることがあります。文法上の誤り(主語述語のねじれ・助詞の誤り)等は確実に減点対象になります。文や文章の主題が途中で変わってしまうのも減点です。気をつけましょう。そのためのポイントを次に示します。

読点(、)をたくさんつけない

 よくあるのが「、」を多用して異様に文が長くしてしまうことです。次に「、」が多い文を示します。

  • 【例A】 私は将来パン屋を開業して、色々な人と交流を深め、みんなに愛されるパン屋さんになりたいと思っている。

    このような「、」が多い文は、内容を一つ一つ区切って書くことが大切です。

  • 【例B】 私は将来パン屋を開業したい。そこで色々な人と交流を深めたい。そしてみんなに愛されるパン屋さんになりたいと思っている。

    ふたつの文を比べるとよく分かると思いますが一文が短いですね。当然のことですが、一文というのは「。」までです。【例A】は一文で構成されているのに対して【例Bは】三つの文で構成されています。そして内容はどちらも同じ。ならば【例B】のほうが評価が高いのは当然です。

指示語は使わないほうがよい

  • 【例A】 私はバリアフリーは大事だと思う。なぜならそれはとても重要なことだからだ。
  • 【例B】 私はバリアフリーは大事だと思う。なぜならとても重要なことだからだ。

    たいていは指示語は使わなくても意味は通じます。また、指示語を使うと意味が通じにくくなる場合があり減点される可能性もあります。

    そして何よりこわいのは、指示語を使ってしまうと、あなた自身が自分でわかった気になってしまうことです。もし、指示語の指示する内容が書かれていなかったら…間違いなく減点です。あなたは「テストで指示語の指示する内容がわからない」ということがあるでしょう。しかし、あなたよりはるかに読解力があるはずの採点者が「指示する内容が読み取れない」と言えば、指示する内容が書かれていなかったことになります。「そんな……」と思っても、負けるいくさは、最初からしない方がよいのです。

 スピーチの場合、指示語が指示する内容を正確に聞き取ることはとても難しいことです。なぜなら、指示語が指す内容は、それ以前の内容……つまり、もう喋ってしまったことなのです。聞き手にとって、とても聞きづらいものですから、やめましょう。