漢詩の風景


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中学生で学習する数少ない漢文の教材です。

次回は三年の1学期。この単元で学んだことをもとに、第1回復習テストや公開模試の漢文の問題に答えなくてはいけません。

しっかりと漢文の問題になれましょう。 

 

授業と同じように進めることができるようにしたため、枚数が多く、その分高めとなっています。

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春暁

春 眠 不 覚 暁

処 処 聞 啼 鳥

夜 来 風 雨 声

花 落 知 多 少

基本

五言絶句

押韻は暁(gyou)鳥(cyou)少(syou)。

五言絶句の場合、押韻は承句と結句だが「春暁」の場合は起句もそうである。

返り点のあるのは起句と承句なので、訓読文と書き下し文を暗記しておくこと。

ポイント

  • 「啼」は鳥のさえずり。
  • 「不」は次の言葉を否定する字。
  • 「覚」は「はっきりわかる」「目がさめる」という意味であるので、「不覚」で「わからない」「目がさめない」という意味になる。
  • 「暁」は「夜明け」という意味。「不覚暁」で「夜が明けたのがわからない」という意味になる。
  • 起句は、春の朝と言うには少し遅い時間であることを示している。
  • 承句は、「聞」とあるので実際の風景は見ていない。作者は寝床の中にいる。
  • 「来」は「~以来ずっと」。転句「夜来風雨声」は「夜」「風雨」など、急に暗く不安なイメージの字が登場している。
  • 「花」は桃の花。「花落」は、前の行とのつながりで「ああ、昨晩の風雨で花が散ってしまったのかな」と考える場合もあるが、「散った桃の花が地面に敷き詰められて、地上も樹上もピンクに染まっている」様子を想像している。

主題は、春の朝の明るくのどかな気分。

春の朝、寝床の中で孟浩然が思ったことが書かれている。昨晩は風雨の音が聞こえ、今外はどんな様子だろうと想像しているのである。

 

教科書の解説文「明るくのどかな気分」「四句から成る漢詩を、絶句」「『起承転結』という構成法」「起句」「承句」「転句で、場面が転換」「全体を締めくくる結句」「春の朝の気分」がキーワード。

  • 漢詩の構成法は「起承転結」
  • 漢詩の形式は「五言絶句」「五言律詩」「七言絶句」「七言律詩」など。
  • 漢詩には「対句」と「押韻」という表現技法がある。

絶句

江 碧 鳥 逾 白

山 青 花 欲 然

今 春 看 又 過

何 日 是 帰 年 

基本

五言絶句。

押韻は然(nen)と年(nen)で原則通り。

五言絶句に対句の決まりはないが「絶句」は起句と承句が対句となっている。

「絶句」に返り点はないため、訓読文や書き下し文に直す問題は出題しずらい。

ポイント

主題は、異郷である南国の明るい春景色の中で故郷に帰れず悲しみに沈む作者の姿です。

  • 「江」は長江のこと。黄河に比べ水は「碧」色である。
  • 「逾」はますます、ということ。碧色の水をバックにするため水鳥の「白」がいっそう映えて見えるのである。(「白鳥は悲しからずや~」と同じです。)
  • 「欲」は、「~しようとする」の意。
  • 「然」は、神への捧げものとして神聖な動物である犬の肉を火で焼き、祈りを捧げる古代中国の儀式をあらわしている。従って「然」という字には本来「燃える」という意味があった。花が燃え上がるように赤い、ということ。このため対比として山の「青」に対する「燃えるような赤」が成り立ち、山の緑(青)と花の赤(燃)の対句が成り立つ。
  • 「看」は「みすみす」と読む。手をかざしてみる状態を表した漢字。なにもできずにただ眺めている状態を指す。
  • 「又」は、今年もまた、の意味。なにもできずに今年もまた過ぎてしまった、ということ。
  • 「何日是帰年」は、「いつになったら(故郷へ)帰る日が来るのだろうか」ということ。

押韻は「然」と「年」。

「碧」「白」「青」「然」の四つの色は、テストに出題されやすい。これは「南国の春景色」であり、「故郷の明るい春景色の中で、悲しみに沈む作者の姿」が対比的に描かれている。

「又」があることで、この状態が何年も続いていることがわかる。

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黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る

故 人 西 辞 黄 鶴 楼

煙 花 三 月 下 揚 州

孤 帆 遠 影 碧 空 尽

唯 見 長 江 天 際 流  

基本

七言絶句。

押韻は七言絶句の原則通り楼(rou)州(syuu)流(ryuu)。七言は五言と異なり起句にも押韻がある。

返り点があるのは起句と承句なので、暗記しておくこと。

ポイント

古くからの親友孟浩然が都会へ旅立つのお別れの会を開いた李白が詠んだ歌。黄鶴楼の上から孟浩然が乗った船の帆が地平線の彼方に見えなくなってしまっても、ずっと長江の流れを見続けていた、という別離の悲しみが主題。

  • 「故人」とは古くからの親友。
  • 「西」は広陵(揚州)のある方向を指す。これは黄鶴楼のある武昌から見て川下にあるので「下る」と言っている。
  • 「黄鶴楼」は有名な料理店。
  • 「辞」は「辞世の句」「先生のお宅を辞する」等の用例から退出の挨拶をするという意味。孟浩然が李白に別れを告げ、黄鶴楼を退出したのである。
  • 「煙花」は春霞。テストで「煙火」と間違えて書く人がいるので注意。(これを狙って出題する先生もいます。)「煙花」を「煙火」とテスト等で間違えやすいので注意をする。
  • 「揚州」は題名の「広陵」と同じであり、黄鶴楼のある武昌から見て長江の下流にあるため「下」の字を用いている。
  • 「孤帆」は孟浩然の乗った船。
  • 「碧空に尽き」とは天地の境まで行って見えなくなった様子を表している。

起句と転句が、「黄鶴楼」「煙花」「三月」「揚州」等、明るく都会的な雰囲気である。

転句では「孤帆」「遠影」「尽」等から暗い雰囲気に変わっている。

結句を現代語訳するときは、書き下し文は古文であるためそのまま書いてはいけない。「長江の天際に流るるを」と書いたら×。長江が天際に流れるのを」と書いても×。「長江が天際まで流れていくのを」等、長江の流れる方向まで注意して訳さなくてはいけない。

押韻は、七言絶句の場合、起句・承句と結句の三箇所。「楼」「州」「流」。

詩の主題は「別離の悲しみ」。

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春望

国 破 山 河 在

城 春 草 木 深

 

感 時 花 濺 涙

恨 別 鳥 驚 心

 

烽 火 連 三 月

家 書 抵 万 金

 

白 頭 掻 更 短

渾 欲 不 勝 簪

基本

五言律詩。

律詩の場合、1~2句を首聯、3~4句を顎聯、5~6句を頸聯、7~8句を尾聯と言う。

律詩の押韻は五言律詩の原則通り、偶数句の深(sin)心(sin)金(kin)簪(kin)。

七言律詩の場合は第1句も押韻がある。

律詩の対句は、顎聯と頸聯であるが、「春望」の場合は首聯も対句である。

この押韻と対句は、テストに出やすい。

また、顎聯、頸聯と第8句には返り点がある。特に第8連はレ点が3連続しているので暗記しておくこと。

ポイント

 この時代、唐は長い間内乱でした。杜甫は都の長安で反乱軍に軟禁され、家族は地方に疎開していました。その時詠んだ詩です。激動の世の中と変わらない自然を対比し、作者の不安・焦りと家族への思いを詠んでいます。

  • 「国」は長安のこと。ここでは「城」と同じです。長安は城壁に囲まれた城塞都市でした。
  • 「時に感じて」とは、内乱状態のこの時代のことを思うと、ということ。普段なら美しい花を見て心が安らぐのだが、この時代はむしろ心が傷み涙が流れる、ということです。
  • 「別れを恨んでは」とは、家族との別れをいいます。
  • 「鳥にも心を驚かす」というのは、足下から鳥が立つという状態なのではありません。対句で「花(美しい花)」に対して「鳥(小鳥のさえずり)」です。本当だったら心がウキウキする鳥のさえずりを聞いてもドキドキ不安になってしまう、ということです。
  • 「烽火」とは戦を告げるのろしのこと。これが三ヶ月(または「ずっと長期間」)続くということは、戦がいつまでも終わらないことを意味します。
  • 「家書」は家族からの手紙です。戦があるので、手紙を出してもまともには届きません。家族の安否を知らせる手紙は、非常に価値のあるものなのです。
  • 「簪」は、冠などを髪の毛に止めておくためのかんざしです。髪の毛に刺しておくものですから、髪が薄くなると刺すことができなくなります。長い年月が経ち、または、苦労が続いたので、白髪頭の髪の毛が薄くなってしまった状態のことを言っています。

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