教科書に載っている短歌の解説をBOOTHより販売します。
定型・字余りはもとより、句切れ、表現技法、解釈と鑑賞など、学習で必要な項目をすべてわかりやすく載せてありますので、予習・復習・課題等に役立ちます。
問題集をBOOTHより販売します。
テスト等で出題できる問題は限られています。きっと、この問題集と似た問題が出題されると思います。
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1 音読する
短歌は声に出してよむことが基本です。とりあえず音読すると、発音やリズムなど、文字を見るだけでは気づかなかったさまざまな作者の工夫が見えてきます。テスト中は音読できませんから、家で何度も読んでおきましょう。
2 イメージ化する
近代短歌は、正岡子規の提唱した「写生」(目に見えた景色をそのまま詠み、そこに情感を込める)が中心です。作者が目にしたのはどのような景色か、絵に描いてみる等、映像化してみます。
3 直訳する
助詞等を確実に補いながら、作者は「いつ」「どこで」「何を見たり感じたりしているか」がわかるように自分の言葉できちんと読み取り、訳します。これにより、掛詞などの表現技法を発見することができます。
4 句切れ・表現技法等を分析する
句切れや破調を含む表現技法は、作者が強調したり余韻を持たせている部分(感動の中心)をつかむ手がかりとなります。
5 感動の中心をつかみ解釈する
短歌の中のどの言葉に感動が込められているか、1~4をもとに分析します。(感動の中心)これををもとに、この短歌で表現している作者の思いや主題をとらえ、文章で説明したものが解釈です。きちんと説明できないことは、わかっていないことなのです。
6 鑑賞する
5を中心に、この短歌の優れている点などを、他人にわかるように説明したものが鑑賞文です。今後、記述問題では4と5が出題される可能性がありますから、しっかり練習しておきましょう。
作者は、読者に注目して欲しいところに表現技法を使います。ですから、表現技法の使われているところに、作者の感動が隠されていると考えてよいでしょう。
短歌の表現技法には、次のようなものがあります。
比喩
…たとえを使って印象を鮮明にする。
倒置
…語順を逆にして、意味を強める。
対句
…対(つい)になる語句を並べて、印象を強める。
体言(名詞)止め
…名詞で結び、余韻を残す。
破調
…「字余り」「字足らず」など基本形を破って、余韻をもたせる。
掛詞
…一つの言葉に二つ以上の意味を持たせる。
句切れ、表現技法等の問題。
【例】・この句は何句切れか。・どのような表現技法を用いているか。
短歌から一部を抜き出し書く問題
鑑賞文の一部を抜き出し、その情景等を感じさせる表現を短歌から抜き書きさせる問題。
語釈の問題
短歌の一部を抜き出し、現代語に訳させる問題。(選択肢形式もあり。)
作者の感動の中心を問う問題
・選択肢問題
・穴埋め問題
・記述問題(使用語彙指定あり)
【解法】…作者の感動の中心は、表現技法等によって探すことができます。発見した感動の中心をキーワードとして、短歌で読まれた情景を正しく説明すれば減点されません。
鑑賞問題
出題パターンは、4と同じ。
【解法】…感動の中心にもとづき、作者の心理(心情)を推定していけばよい。感動の中心とそれにつながる情景を示す語をキーワードとしながら解釈し、現代語訳して、表現技法などをもとに作品の良さを書けば減点されない鑑賞文となります。(高得点とはなりませんが、少なくとも失点しません。)
【直訳】
赤い色の60センチほど伸びた薔薇の芽の針に(が)柔らかに(で、そこに)春雨が降っている。
【形式・技法】
定型 句切れなし。
「の」音の繰り返しによるリズム感。
【感動の中心】
「やはらかに」(「薔薇の芽の針」と「春雨」の二つの状態を指す掛詞。)
【解釈】
赤い色の薔薇の芽が伸びて、二尺ほどの長さになり、針のようなとげはまだ柔らかい感じで、春雨がけぶるように降っている。
【鑑賞】
病床から見えたままを写しとることで、薔薇の芽のみずみずしさを詠んでいる。「の」の音が、区全体にのびやかなリズムを与えている。薔薇の芽の針と、春雨の降る様子が、ともに「やはらか」である。春雨に濡れている薔薇のとげを「針やはらか」と表現した感覚の優しさなどが総合的に、気温の緩んだ雨の日の雰囲気ある風情を感じさせる。
【作者】
結核のため病床に伏し、三十四歳で死去。古い「和歌」に対抗、万葉調の、実際をありのままに写す「写生」を唱え、俳句と短歌の革新運動を推進した。
この歌は、旧版の教科書に掲載されていたものです。
現行の教科書のものは、こちらの解説書に載せてあります。
【直訳】
なんとなくあなたに待たれているような気がして出てきた秋草の花咲く野原の夕方の月である。
【形式・技法】
定型 句切れなし。切れ字(かな)
【感動の中心】
「花野の夕月夜」(切れ字「かな」。)
【解釈】
別に約束した訳ではないが、なんとなくあなたが待っていてくれているような気がして、薄や野菊の花が咲く野に出てきた。空は夕月、心も野もほのかに明るいひと時である。
【鑑賞】
「君」とは単なる呼称ではなく、「想い人」という意味がある。ほのかな気分が中心の、うら若い恋の感情を詠っている。「なにとなく」という確信がもてない気分や、「待たるるここち」という現実感に遠い思いの象徴が「花野の夕月夜」である。「花野」とは秋草の咲いている野。それだけで詩情ある風景であるが、さらに空にはあわい夕月が懸かっている。自然の中に身を置いたロマンティックな情緒に、これからひらけている恋を想う心が動いている。
【作者】
明治期を代表する浪漫派女流歌人。『みだれ髪』で恋する情熱を大胆に詠うなど、奔放で進歩的な女性であった。
この歌は、旧版の教科書に掲載されていたものです。
現行の教科書のものは、こちらの解説書に載せてあります。
【直訳】
麦の茎を口に含んで吹いていると、ふと音が鳴り出してうれしかった。
【形式・技法】
定型 句切れなし 体言止め
【感動の中心】
心うれしさ(体言止め)
【解釈】
麦畑の近くを歩いて麦を折り取り、口に含んで息を吐いていたのであろうか。すると突然「ピー」と音が鳴り、とてもうれしかった。
【鑑賞】
麦の茎を折ってならす「麦笛」は夏の季語。童心に返ったかのような作者の素朴な感動が詠われている。
【直訳】
白鳥は悲しくないのだろうか。空の青い色、海の青い色にも染まらないで漂っている。
【形式・技法】
定型 二句切れ 対句 反語
【解釈】
白い鳥は悲しくないのだろうか。空の青さにも海の青さにも染まらないで漂っているよ。
【鑑賞】
孤高の存在への浪漫的な共感を詠った短歌。作者は、白鳥の純粋に生きようとするからこその孤独感を自分自身と重ねている。「かなしからずや」とは、「かなしくないのだろうか」の意。白鳥の「染まずただよふ」姿から感じている。