人工知能と未来

人間と人工知能と創造性


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二つの論説文を読む前に

人工知能とは何か

 「人工知能との未来」と「人間と人工知能と創造性」の二つの論説文を読むとき、「人工知能とは何か」がはっきりわかっていないと、筆者が何を言っているのかよくわからなくなります。

 しかし、この二つの文章には「人工知能とは何か」を説明する文がありません。

 まず、人工知能とはどういうものかを知り、それから二つの論説を比べてみましょう。

人工知能とは

 人工知能(AI)とは、人間と同じような知能(論理的に考え問題を解決する等の知的活動)を機械的に再現し実行するしくみです。

 人工知能は、どのように論理的に考え問題を解決しているのでしょうか。

 

 「上の写真は犬でしょうか。猫でしょうか。」という問いに、人間ならばどんな小さい子どもでもすぐに「猫だ」と答えると思います。  なぜわかるのでしょう。どんな考え方をして問題を解決したのでしょう。

 小さな子どもに「猫ってどんな動物?」と聞けば何と答えるでしょうか。「四つ足で、しっぽがあって……」と答えるに違いありません。しかしこの説明では、他の動物との違いをはっきり言うことはできません。「猫」を、もし正確に説明するとなると、よほどの専門知識を身につけていなければ定義することは不可能でしょう。

 「猫」をきちんと定義できないのに、なぜ小さな子どもでも猫は猫だ、とわかるのでしょう。それは、小さい頃から猫を見るたびに、それが実物であろうとイラストであろうと「これは猫だよ」と周囲の人から教わったからです。その結果猫の定義を知らなくても、猫を識別できるようになったのです。

 これと同じことをコンピュータにやらせます。たくさんの猫の写真を見せ、その特徴を教えていくのです。そうすると、新しく見せられた写真が猫かそうでないかを判定できるようなります。これを機械学習と言います。  しかしこれでは、いちいち猫の特徴を教えていかなくてはいけません。そこで、コンピュータが自分で猫の特徴を発見し、猫かそうでないかを否かを識別するしくみが開発されました。これをディープラーニングと言います。小さな子どもが「猫だ」とわかるのと同じように、コンピュータが自分で特徴を発見し、見せられた写真が猫であるかそうでないかを判断するのです。現在の人工知能は、このしくみによって成り立っています。

 小さい子が目の前にいる動物の何に注目して「猫だ」と思ったのか、その子にも説明できないし、当然他人にはわかりません。これと同じように、コンピュータがどんな特徴に注目して、なぜそう判断したかは、ブラックボックス1になっていて人間には理解することができないのです。。

 

 このディープラーニングの仕組みによって、人工知能は人間がまったく気にもとめなかった特徴を見つけ出し結論を導くことができるのです。

人工知能の出す結論は本当に正しいのか?

 『サイボーグ009』や『仮面ライダー』を生んだ石ノ森章太郎原作の『大鉄人17(ワンセブン)』の話です。

 自ら考え決定し実行する「自我」と、スプーンからミサイルまで何でもを創り出すことができる「超生産能力」を持ったスーパーコンピューター「ブレイン」。彼に与えられた使命は、あらゆる災害から地球環境を保全することだ。  彼は膨大なデータを分析し一つの結論を出す。「人類こそが地球を滅ぼす。人類は地球にとって災害であり有害。」そして彼は人類を駆除すべく自分と同等の能力を持つ巨大ロボット大鉄人17を創り出した。しかし17が出した結論は「人類だけが地球を救える。人類は地球に有益。」  かくして、大鉄人17とブレインの戦いが始まった。

 ブレインも17も超進化した人工知能です。彼らは「地球環境を保全する」という命題に対し、真逆の結論を出しました。彼らがなぜその結論を出すに至ったのかはわかりません。  この話は、人工知能は膨大なデータを基に結論を出します。しかし常に同じ結論を出すとは限らないことを、この物語は示唆しています。

 例えば現在、ウェブ上の大量のデータをもとに学習をし文章を生成するチャットGPTなどの対話型AI2があります。質問すれば人間のように回答をしてくれますが、同じ質問を複数回しても、常に同じ答えが返ってくるとは限りません。

 これは、ウェブ上のデータはすべて正しいとは限らないからです。そして人工知能には正誤の判断ができません。そのため回答を誤ることがあります。また人間と同じように考えることができないため、文学作品などは行間を読むことができず、正しい要約ができないため、一般的で抽象的な感想しか答えられません。更に善悪の判断ができないため、目的のためならどんな悪いことでも平気で提案してしまいますし、著作権などおかまいなしです。

 

 結局、使う人間がすべての責任を負わなければならないのです。


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