「花曇りの向こう」の復習、定期テスト対策のプリントをダウンロード販売します。
1年生の最初の定期テストを考え、国語のテストの答え方が身につくように解答の解説をつけました。
答え方のコツは、こちらをご覧ください。
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中学生になって、はじめての文学的文章の読解です。この単元で、しっかりと文学的文章読解の手法を身につけましょう。
文学的文章で書かれる世界は、作者が創造した世界です。どんなに現実の世界と似ていても、決して現実世界ではありません。造物主である作者に創り出された世界なのです。
現実世界は移動可能な空間の世界と、過去から未来にしか流れない時間の世界、そしてそこに暮らす生き物の三つによって成り立っています。そしてこの三つは、物理学や心理学などの科学で説明できる法則性によって支配されています。文学的文章も同じです。どんな作品の世界にも必ず作者は「いつ(時間的な設定)」「どこ(空間的な設定)」「だれ(登場人物の設定)」の三つを設定します。文学的文章読解のためには、一刻も早くこの「いつ」「どこ」「だれ」をより正確に、より具体的につかむ必要があります。
最初の見開きの2ページから、次のことがわかります。
現実世界では,今起こっていることはわかっても,明日やあさって,1年後のことはわかりません。しかし文学的文章の世界では,未来はあらかじめ創造主である作者によって決められています。あなたが物語を読み始めた時には、既に本の最後に結末が書いてありますからね。
例えば昔話では,「桃太郎」のように神様から授かった子どもは,必ず鬼を退治しておじいさんおばあさんに幸せをもらたしてくれます。「鶴の恩返し」のように,人間が約束を破ることによって幸せは逃げていきます。
アニメなどでも,ライバルは最後に「強敵(とも)」という親友になりますし,けんかをした相手とは必ず仲直りをします。このような仕組みを「予定調和」と言い,その法則性を「物語文法」といいます。みなさんが小学校で習った「大造じいさんとガン」や「わらぐつの中の神様」も,みんなこの物語文法にのっとって書かれています。「ごんぎつね」も,実は「ごんが兵十に自分の気持ちを伝える」ことで,物語文法通りの展開なのです。(教科書ですから,文章のお手本である予定調和を乱す小説はまず掲載されないのです。)
つまり,物語の設定がわかれば,物語の結末の予測ができるのです。
このことは「花曇りの向こう」という題名からもわかります。「花曇り」というのは晩春の季語です。季語は俳句などで使う言葉で『歳時記』にまとめられています。他にどんな言葉があるかは,ここにも載っています。そしてこの物語の「いつ」と一致しています。桜が咲く頃の曇りの空なのです。
雲が低く垂れ込めるほどではなく,比較的明るい曇り空です。太陽にカサがかかることもあります。まあ,春のあんまりパッと晴れてはいない空模様です。これは曇りと言い切ることはできないが,かといって晴れとも言えない「晴れることを放棄したようなぼやけた空」で,物語スタート時点の明生君の気持ちの比喩です。新学期で,クラスになじもうと思ってもなじめない,友だちが欲しくてもなかなか友だちができない,そんなモヤモヤした気分をあらわしています。
では「花曇りの向こう」には何があるのでしょう。花曇りの雲の更にその上の空には,必ず青空が広がっています。そして何よりも,この四月の空が終わると五月の空…「五月晴れ(さつきばれ)」と言われるスキッとした青空が待っています。まさに,「花曇り」のような,友だちができずにパッとしない気持ちの明生くんに,花曇りの上には青空が広がっていて、花曇りの季節の次には五月晴れが待っているような,友だちとの明るい生活が待っている,というこの物語を暗示した題名だと思いませんか。
この物語の鍵は梅干しです。「ばあちゃんは何でも梅干しでよくなると思って」います。
実際に人間関係に悩む明生君に解決のきっかけを与えてくれるのは,梅干しのお菓子です。どんなお菓子だったのでしょう。
「なつかしいパッケージ」「昔よく食べたかたい梅干しのお菓子」で,「父さんが好きだったせいで,僕は幼稚園の頃から気に入って食べては,すっぱいのにと周りをおどろかせていた」というものです。
コンビニなどでは梅干しを使ったお菓子を何種類も売っていますが,昔から駄菓子屋で売られていたのは,こんな感じの商品なのではないでしょうか。
「みんながいるかも知れないから」とわざとみんなのいない駄菓子屋に行ったくせに「みんなと交換しやすい物がいいな」と考えながら,この梅干しのお菓子に目をつけた明生君。そして「これじゃだれもほしがらないよな。そう思って棚に戻そうとする」のですが,「お,俺もそれ買おうと思うててん。」と川口君から声をかけられます。これがボッチを抜け出す(だろう)きっかけとなります。ばあちゃんの言うとおり,人間関係がよくなるきっかけをつくったのは梅干しだったのですね。
あああああ (月曜日, 28 10月 2024 14:56)
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